ボルボ比較研究 V70ユーザーはV60に乗り継げるか

比較

さて、天王山である。

V70ユーザーが新型V60へ乗り換えられるか検証するシリーズ、最終回。

総合的に評価して、乗り換えられる対象の人はいるのか、考えてみましょう。

なお、前の記事を読んでいない方は、先にそちらから読んでも、あとで読んでも大丈夫ですよ!

ボルボ比較研究 V70ユーザーはV60に乗り継げるか その1 主要装備前編
ボルボV70ユーザーにとってのV60は、どのような車に見えるのでしょう?VCJは正式な後継車種と言っていますが、果たしてV70ユーザーのお目にかなうものなのか。V60とV70の比較記事 その1 プライスリストの前半編です。
ボルボ比較研究 V70ユーザーはV60に乗り継げるか その2 主要装備後編
V60へ乗り換え?荷物は乗るの?人は快適なの?V70からV60へということは、車格が落ちる感じがしますが、実際はどうなのでしょうか。V60とV70の比較記事 その2 プライスリストの後半編です。

V70のおさらい

ボルボ850サイド

その前に、最終的なおさらいもしちゃいましょうか。

 

ボルボV70は、そもそもの成り立ちは高額ワゴンではありません。ルーツでいえばボルボ850で、850のモデルチェンジ版がV70。

初代V70はボルボ850と同じ形だったんですね。

その後、2代目V70が登場しますが、姉妹車はS60というセダンでした。つまり、もとを正せばS60などの中型のクルマだったわけです。

2008年発行 瑛出版社 北欧スタイル No15

で、3代目は高級セダンのS80からの設計流用に格上げされます。

フォード傘下、PAGのプレミアム部門に属していたボルボは、一番の売れ線ワゴンV70を高級、高価格化したのです。

高級志向のユーザー層はV70を乗り継ぎますが、高額になったV70に見切りをつけて、小型のV50や、後に発売されるV60へ乗り継ぐ層ももちろんあらわれます。

ボルボV60カタログ画像

出典:Volvo car japan https://www.volvocars.com/jp/

V60が登場してきましたね。ですが、登場当時なかなか質素だったV60にはなびかない人々もいたようです。

その後、さらに高級車V90を開発。V70を誘い出しますがこれは完全に失敗。V70ユーザーは、再び後継モデルを選びなおさなければならなくなりました。

 

そこでボルボは考えました。もともとS60クラスだったのだから、V70ユーザー層をもとのサヤにもどそうじゃないか!(注 about-VOLVOの勝手な想像も入っています。)

かくして、価格帯はV70と同等、あとにT4などの安いモデルも発表され、V60ユーザーの受け皿にもなるでしょうけれども、ひとまず本当のV70後継車だよっていうふれこみで発表されたのが、2018年日本発表のV60。

出典:ボルボスウェーデンhttp:/https://www.volvocars.com/

つまり、V70という車はこれほどにも顧客層を混ぜこぜにしてしまった車だったのでした。ですので、新型V60がV70の後継車種になるかと言えば、随分と難しいのです。

これを踏まえれば、ピンポイントで乗り継ぎができる層なんて針に糸を通すほどにしかいないかもしれませんね。

 

でも、メルセデスやBMWを見てきて、やはりボルボが良い、という人はいるわけです。モデルとしては重要なモデルです。そこでSPAプラットフォームが成熟したこの次期に、新型V60を投入してV70の上層ユーザーも取り入れよう、と考えたに違いありません。

 

見た目、豪華さ、走り。すべての要求をV60でどれほど妥協できるか、または超えてくるか。

 

この辺りを踏まえれば、V60に乗り換えてもいいかな?って思うかもしれませんね。

ボルボV70 生産の軌跡

V70の軌跡
  • 1992年
    ボルボ850発売
  • 1997年
    ボルボV70発売
    初代ボルボV70は、850のビッグモデルチェンジ版でした。
  • 1999年
    ボルボ2代目V70発売
    ここでセダンはS60、ワゴンはV70という住み分けが始まりました。
  • 2007年
    ボルボ3代目V70発売
    V70はより大きく、豪華に変貌。デザインはS80のものを流用します。
  • 2010年
    ボルボV60発売
    中型ワゴンとして登場。V50、V60、V70のワゴン3羽ガラスとなります。
  • 2017年
    ボルボV70販売終了
  • 2017年
    ボルボV90販売開始
    一応、2代目のV90です。
  • 2018年
    ボルボ2代目V60発売
    VCJより正式なV70の後継車種と発表あり。

ボルボV70からV60へ 乗り味の変化

出典:Volvo car japan https://www.volvocars.com/jp/

ボルボはマイナーチェンジやイヤーチェンジ毎に、乗り味を随分と変えてきます。ですので単純に比較ができないのが難しいところ。

3代目V70登場時の乗り味は、フワフワという印象が残ります。

ラグジュアリー思考にながれていなV70はこれでよく、静寂さと快適さを兼ね備えた高級ワゴンだったのです。

いっぽう新型V60は、トレンドに沿っているので仕方ありませんが、少しスポーティに振っています。しかしXC40ほどの軽快感は出さず、快適性と多少はキビキビしているかな、程度の乗り味です。

前のモデルのV60は、2014年頃に乗った時は、軽快だなと感じたものです。新型V60はV70ユーザーを意識してか、車のデザインとアンバランスにならない程度で濃厚さを残しています。

この乗り味については、なかなか逸品だと感じます。闇雲にスポーティにしないあたり、ボルボのマインドは生きているのではないでしょうか。

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ボルボV70からV60へ 車格の変化

出典:Volvo car japan https://www.volvocars.com/jp/

ボルボV70の車格は、先ほど伝えた通り一度は最上級ワゴンだったわけです。

ですので、正式にはV90が後継車種になるのですが、あちらはあちらで車格を上げすぎ。

いっぽう、V60とV70が共存していた次期があることから、V70はV60より上だということははっきりとわかります。

それはデザインにも表れていて、NewV60がどれほど足掻こうと、V70のエクステリアデザインにはかないません。実車を見ればすぐにわかります。

端正込められてつくられた、「エステート」という言葉を具現化したようなフォルムは、今見ても高級ワゴン。銀座にだって行けちゃいます。

NewV60はスポーティワゴンですから、やはりここでも性格の違いが出てしまいます。しかしInscriptionのインテリアの質感はなかなかのもので、コックピット周りがかわったマイナーチェンジ後のV70にのっているユーザーは、あきらかにV60のデザインのほうが高いとわかるでしょう。

王道エステートエクステリアのV70、スポーツラグジュアリーのV60。どちらも嫌いでなければ、乗り換えは悪くない選択肢ですね。

スペックの詳細

どちらも良い車なので、車の性格さえ合えば移行できそうな気もします。

そこで、V70とNewV60の、スペックの違いをみてみましょう。

スペック V70 T4 V70 T5 V60 T5 Mo V60 T5 In
全長 4,815 4,815 4,760 4,760
全幅 1,890 1,890 1,850 1,850
全高 1,545 1,545 1,435 1,435
車重 1,660 1,710 1,700 1,700
ホイールベース 2,815 2,815 2,870 2,870
エンジン 1.6L 直4 2.0L 直4 2.0L 直4 2.0L 直4
最高出力 180ps 245ps 254ps 254ps
最大トルク 240Nm 350Nm 350Nm 350Nm
燃費 13.6km/L 14.3km/L 12.9km/L 12.9km/L
価格 499万円 529万円 499万円 599万円

スリーサイズはV70が大きく、おお振りですね。当時長かったホイールベースは、V60に抜かされてしまいました。

エンジンの出力は、NewV60が高く、優位な気分に浸れそうですが、燃費の改悪は痛い。

今回比較しているモデルの中で、DriveEを積んだV70 T5 SEが一番燃費が良いのです。箱型という自動車の形状を考えれば、すばらしい数値と言えるでしょう。

一方のV60は、反省しろよですね(笑)よくなったのは出力のみで、燃費は残念ながら悪化です。実燃費は違う可能性もありますが、カタログスペックでは燃費は下がってしまいました。

本当に反省しないといけないの??

V70 T4 のエンジン性能曲線

1.6リッター直列4気筒ターボエンジン、最高出力は180psで、リッター100psを超えたパワフルチューニングエンジンです。

ですが高回転域では音が大きくなり、そこはやはり1.6リッターに無理をさせている感じが否めません。

発売時期はダウンサイジングターボの時代でしたから、こういうエンジンが必要だったのでしょう。もしV60にT4モデルが出るようなら、価格的に450万円前後になるでしょうから、V70 T4ユーザーの触手が動きそうですね。

V70 T5 と V60 T5 のエンジン性能曲線

2.0リッター直列4気筒ターボエンジン。最高出力は245psと申し分がない。

そして高燃費 14.3km/Lは大変優秀で、本当ならV60 T5もここまで燃費をあげて欲しかった。

とはいっても、エンジン性能曲線を見ると、1500rpm以下のトルクが急激に下がります。低回転域のトルク感を増やした結果、つまりドライバビリティをよくした結果、燃費が悪くなったのかもしれません。

こちらがV60 T5のエンジン性能曲線。最大トルクこそ一緒ですが、全域でトルクフルに調整されたようで低回転域でも大きなトルクが発生。

この比較なら、出足の調整がしやすいのはV60ということになりそうですね。燃費については、目をつむるかTwinEngineにするか、悩ましいところです。

検証結果

出典:ボルボカージャパン(ボルボセレクト)https://selekt.volvocars.jp/ja/used-cars/

ということで、スペック表やカタログデータと、いろいろな角度から見てきたV70とV60の比較。

どうも決着がつかないのですが、移行への決定打になりそうなところは見えてきました。

安全装備の充実

安全装備を充実させたいのなら、迷わず新世代ボルボへ移行するべきです。そしてV70からの移行は、V90よりはV60でしょう。ここに異論はありませんね。

ただ、日進月歩ですから乗り換えたタイミングよりもいい安全装備が、来年のモデルからつく、なんてことはよくあること。覚悟しましょう。

快適装備の充実

ラグジュアリー思考、快適思考であるのでしたら、V70のSEモデルはV60 Momentumよりも優っていました。

しかも、V60 Inscriptionは確かによいのですが、ちょっと高めの価格設定です。

長く乗れるのでしたら、V70に乗り続けるのはありでしょう。

車格 存在感

実車を両方とも見ましたが、同じ黒色ボディだと、あきらかにV70の質感が高いです。

やはりS80ベースという強みですね。最終型のV70は高級ワゴンなのです。V60が内装装備を充実させて、上を目指しすぎている感じもしなくもありません。

この存在感がたまらないのでしたら、V70維持、または別メーカーとなりそうです。

ドライバビリティの向上

運転のしやすさは、V60が上だと思われます。これはエンジン性能曲線にはっきり出ています。V70 T4ユーザーなら、V60 Momentum へ乗り換えればエンジンの性能アップを感じることができるでしょう。

コーナーリングは、V70がサスペンションを深く沈みこませて曲がるタイプなのに対して、V60はしなやかに受け止めながらもシンがあるタイプ。ここは好みですね。

いっぽう、同乗者の快適性はV70でしょう。サスペンションがゆったりと深く沈む感じは、同乗者にもわかりやすい挙動です。

サイズ

申し分なくV70です。パーフェクトに揃えられたサイズは、ワゴンに必要な要素。荷物を運ぶことを前提にしているので、四角いボディは使いやすいの一言です。

V60は頑張っています。しかし、乗員の快適性にシフトしたように見えます。ですので、荷物を積むのか人を乗せるのか。ここもキーポイントになりそうです。

評価

V60フロント

以上より、about-VOLVOの出した評価は以下の通りです。

V70でも比較的安いモデルに乗っていた人は、V60 Momentumへの乗り換えは

V60 Momentumには快適装備は必要十分搭載されており、あまり心配はいらないでしょう。むしろパワフルになったエンジンとスポーティなスタイリングで、新世代ボルボを感じるのも楽しいですよ。

V70のT5など、中間グレードに乗っていた人は、V60 への乗り換えは

中途半端なモデルチェンジを繰り返さざるしかなかったV70は、ポジショニングが曖昧になってしまいました。ですので、他のメーカーも含めて検討したほうがよいでしょう。

V70の上級モデルに乗っていた人は、V60への乗り換えは×

V60のInscriptionという手もありますが、それならばXC60を狙いましょう。または、V90を視野に他メーカーのDセグメントをあたるといいでしょう。

V60ダッシュボード

about-VOLVOの主観にはなりますが、マッサージチェアーなどの豪華装備がのっているInscriptionは、全部盛りすぎて車本来の素の良さを感じにくい。そして、どこまで似合うか。。。

正直、ダッシュボードへのステッチ(テイラーダッシュボード)とか、いらないと思っています。しかし、LCD液晶で構成されたコックピットは、やはり運転してみたいなって思います。ドライバーを満足させるのなら、V60 Momentum で充分なのではないでしょうか。

と、答えを作ってみましたが、ようするにNewV60は、旧V60ユーザーとV70ユーザーの一部(やすい方のモデル)を取り込むための車で、V70ユーザーの目には入らないと見ていいと思います。

非常に長い考察になってしまいました。いかがでしたでしょうか。

あくまでabout-VOLVOの意見、とはなりますが、参考にしていただけると幸いです。

お付き合いありがとうございました!

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ボルボV70ユーザーにとってのV60は、どのような車に見えるのでしょう?VCJは正式な後継車種と言っていますが、果たしてV70ユーザーのお目にかなうものなのか。V60とV70の比較記事 その1 プライスリストの前半編です。
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V60へ乗り換え?荷物は乗るの?人は快適なの?V70からV60へということは、車格が落ちる感じがしますが、実際はどうなのでしょうか。V60とV70の比較記事 その2 プライスリストの後半編です。