ボルボヒストリー エアバッグに愛を 考案者小堀保三郎に想うこと

  • 2018年12月27日
  • 2018年12月27日
  • コラム
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ボルボを購入する人は、少なからずともボルボは安全だから、という気持ちはあるでしょう。

プレミアムカーを目指し、美しいボディデザインと品のある内装は、私たちの目を釘付けにしますが、それだけがボルボのブランドパワーでないことを、私達は知っています。

いまや歩行者までをもエアバックで保護しようというボルボの方針は、讃えるべきでしょうし、私たちも惜しみなく、そのエアバックに対価を支払うべきですね。

さて、エアバッグとはそもそも車内に存在して、乗っている人を事故の衝撃から守るものです。

このエアバッグ、実は日本人が開発していた、という事実を、ご存知でしょうか。

明治生まれの鬼才、小堀保三郎。悲しい結末で人生を終えるこの方のお話をいたします。

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現代エアバッグの祖 小堀保三郎

ボルボのエアバッグ 出典:VOLVO CAR JAPAN

小堀保三郎さんは、19世紀の終わり、1899年に栃木県に生まれます。

エアバッグの開発は1963年というから、還暦を過ぎてから開発したのですね。

当初、このエアバッグは自動車用として作られたものではありませんでした。なんと、飛行機の墜落時に乗客の命を救うために編み出されたものだったのです。

 

小学校を卒業後、奉公に出ていた小堀保三郎は、25歳で帝国通信社の記者として就職。エアバッグとは関係のない職業につきます。

35歳で大阪電気鉄道に嘱託として入社。しかし3年後の38歳で、工場を建てて経営に乗り出します。

この時作った会社、大阪工起製作所は、大同輸送機工業を経て、IHI運搬機械というIHIグループ企業の一員にまで成長。

しかし当初経営を担っていた小堀保三郎は、経営を完全にまかせて別の会社 グッドアイデアセンターを起業。
特許の取得の代行や新しい技術を開発する会社で、取得した特許とその特許料で生計を賄う会社を計画しました。

その中で小堀保三郎が開発したのが、自動車用衝突安全装置いわゆるエアバッグ。

なんと、サイドエアバッグや歩行者エアバッグまで考えられていたというのだから驚き。

認められない革新技術

小堀保三郎のエアバッグ実験 出典:日本自動車殿堂 http://www.jahfa.jp/

しかし、アイデアとはそのまま世の中に出るものとは限りません。

1963年にエアバッグを公表して特許を取りますが、注目は集めるものの採用はされず。

1969年に日本自動車組合による公開実験も行われますが、爆発音が大きく信頼性も少なかった為、結果は残せませんでした。

当時の日本では、世界を変えるシステムだという認識は全くなく、奇抜すぎるとして積極的には研究されません。いつの時代も日本ではイノベーションは実らず、小堀保三郎の体力も消耗していきます。

しかし実は、世界では実用への波に向かっていました。

 

世界で初めてエアバッグが標準装備されるのか1980年。メルセデスベンツSクラスに搭載されたのを皮切りに、搭載車種が増加。

日本ではホンダが、1985年に搭載。エアバッグは80年代にようやく花が咲きます。

いよいよ、小堀保三郎にも良い風向きが、と考えますよね。

ところが、グッドアイデアセンターは経営が成り立たず。エアバッグの特許料も入らず存続が困難に。小堀保三郎さんは奥様とともに心中してしまうのです。

それは1975年、市販車へのエアバッグ搭載まで、あと5年という時でした。

なかなか広がらない自動車安全性への意識

世界初のエアバッグ標準搭載車 メルセデスベンツSクラス 出典:Wikipedia

1970年に入り、アメリカや欧州ではエアバッグの研究は徐々に盛んになってきます。

国々により様々な理由がありますが、例えばシートベルトを着用すること自体がカッコ悪い、なんて言う意見もあったようです。

14カ国で様々なエアバッグに関わる特許を取っていた小堀保三郎も、にわかには期待を持っていたに違いありません。

しかし、自国の日本では火薬を使うエアバッグは危険であるとか、そもそも別の国で販売されていないなどの理由で許可が得られず、素晴らしいアイデアにもかかわらず誰も採用を後押ししてくれない。

唯一、かどうかはわかりませんが、ヤナセ自動車の生みの親、柳瀬社長はこのエアバッグは使えると、海外メーカーに売り込んでいたようでした。

それでも進まぬ社会、技術の保護をしない日本、支払わなければならない特許の維持費。

自信のある、必ず世界が見つめ直す技術を持て余し、かつ目の前で何万人もの人が、交通事故で亡くなっていく。

小堀保三郎の悲しみたるや、計り知れません。

自動車の安全性を見つめ直そう

世界初のサイドエアバッグ装着車 VOLVO 850 出典:VOLVO CAR JAPAN

悲しい歴史を乗り越えて、いまエアバッグはすべての車に搭載されます。

安全に関わる特許は、人々のためにと無償公開される事もしばしば。

共同開発も盛んに行われるようになり、世界初のサイドエアバッグはボルボとオートリブ社により1994年に発表。

思えば、人の安全に関わる特許を、特許の独占企業が持つという事が、失敗だったのかもしれません。

やり直す事ができないのが歴史。

でも、私達は選ぶ事ができます。

自動車の安全性の向上のために、安全な車の選択を。

あなたの自動車選びのエッセンスに、誇りに少しでもこの記事が、小堀保三郎の人生が役立てばと思います。

 

この記事には独自考察が含まれています。

史実は実際に起きたことを忠実に記載していますが、考え方や意見はabout-Volvo独自のものです。

参考文献 出展

日本自動車殿堂 JAHFA http://www.jahfa.jp/2006/01/01/小堀-保三郎/

ヤナセ https://www.yanase.co.jp/company/history/

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/小堀保三郎

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